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Twitterと政治を考えるワークショップ。まさに時空を超えたジャズライブ。

六本木では数多くの有名なジャズライブハウスがあり、毎晩のように熱い演奏が行われている。どのライブハウスも、六本木の喧噪の中で目立たないようにひっそりと佇んでいるが、一足そこに踏み入れれば、騒がしい日常を忘れられる空間が広がっている。演奏者の演奏に観客は酔いしれ、歓声をあげる。

6月30日夜の六本木某所。そこでは、後々「伝説」と語り継がれるような夢のようなセッションが行われた。Twitter議員の橋本岳さん(@ga9_h)、Twitterに大変詳しい山崎富美さん(@fumi)、Twitter実況のプロ津田大介さん(@tsuda)。Twitterプロフェッショナルの3人が集まり行われた「Twitterと政治を考えるワークショップ」。フミさんの詳細なTwitter分析をベースに、津田さんの鋭いツッコミ、そして、岳さんのTwitter政治に対する熱い想い。その様子を見た瞬間に、あるルールを共有しながらも個々が自由に演奏していくジャズのライブを見ているような錯覚に陥った。例えるならば、フミさんがベースで、津田さんはドラム。この二人が議論のベースを作っていく。その上で、岳さんがピアノを自由に奏でる。何とも豪華なセッションだろうか。そして、そのライブの盛り上がりは、Twitter議員の逢坂さん(@seiji_ohsaka)が、函館からTwitter越しに参加されたことでさらにヒートアップしていく。今度は、サックス奏者が加わった。彼らの4人の演奏に、会場やTwitter上にいる観客は興奮を抑えきれず、歓声をあげ続ける。まさに、時間と空間を超えたライブだった。

Twitterと政治を考えるワークショップ: GLOCOM

Twitterを通じて「政治がそこで行われているんだ!」というリアル感を共有したい!(岳さん)

僕は、ライブの中で岳さんが語られたこのフレーズが一番印象に残っている。
先日(6月17日)行われた党首討論の様子を、民主党の逢坂議員がご自身の意見を交えながら報告していたが、この行為には、多くの人が賞賛の声をあげていた。もちろん、僕も、この新たな取り組みに感動せざるを得なかった。今でも、食い入るようにiPhoneの画面を見ていたのを覚えている。しかし、僕は一体何に感動したのだろうか。何に心を動かされたのだろうか。党首討論の様子をリアルタイムで見たいのであればテレビを見ればよい。当たり前だが、ある議員がTwitterに書き込んでいる内容より正確で、お互いの党首のリアルなコメントを聞くことが出来る。では、いったい何に感動したのか。結局僕が求めていたのは、それぞれの党首の発言内容をリアルタイムで把握することではなく、党首討論に対する、議員の想い・本音を知ることだったのではないだろうか。そこに「まさに政治が行われているんだ!」というリアリティを感じたのかもしれない。誰もが、かみ合わない党首討論にうんざりしているし、ただのアピール合戦になっていることを痛いほど感じている。いくらリアルタイムの映像をTVを通して見たところで、そこにリアリティは感じられなくなっている。それより、文字だけでもいいから、少しだけでもいいから、本音を知りたい。「いったい本当のところはどう思っているんだ?」と。そのリアリティこそが、「政治がそこで行われていることを感じて欲しい」という岳さんのフレーズに繋がるのではないだろうか。

今回のワークショップでは、何人もの人が実況中継をし、そして、何人もの人がそのコメントに対してレスをつけていた。Twitterが政治を変えるのではないか、と多くの人が期待している。僕も、途中で退席した後の様子をTwitterで見たが、大勢の人が期待する想いがTL上に表れていたことに、正直感動してしまった。これだけの熱い想いがあるのであれば政治が変わるのではないかと、なんだか嬉しい気持ちにさせられた。

Twitterで政治の「何」を変えたいのか

しかしここで注意したいのは、「政治の何を変えたいのか」ということである。Twitterを含めて、ツールと政治の話になると、単純に「ツールが政治を変えるかどうか」という大雑把な議論になってしまい、何を変えようとしているのかという点が必ずしも明確になっていない。「今の政治の問題はどこにあるのか、それに対して、Twitterが有効に活用できる部分とそうでない部分はどこか」というように、問題を詳細化して検討する必要があるのではないか。「政治」とは社会のあり方そのものであり、それをひとくくりで議論してしまうと、やはり「Twitterで政治を変えるのは難しい」ということになってしまう。だが、政治の中のある機能に焦点をあてれば、Twitter活用の具体的な方向性が見いだせるのではないだろうか。岳さんのフレーズは、方向性のひとつを示している。

Twitterだけでは政治が変わらないことは、もう、みんな分かっている。これまでも電子会議室やSNS地域SNSに期待して、結局政治が変わることはなかった。Twitterも結局そうなんじゃないかと、みんなどこかで思っている。それでも、ちょっとでも政治が良くなる可能性があるのであれば期待するしかない。良くなることを信じて頑張るしかない。そんな心境なのではないだろうか。

ワークショップが行われた現場の雰囲気、それを取り囲むTwiter上の雰囲気。まさに時空を超えたジャズライブ。正直感動した。ふと思い返してみれば、5年近く前に行われた「SNSが行政と住民を繋ぐ」というようなテーマの研究会で行政職員と熱く語る中で、今回と同じように感動していたことを思い出した。

『期待し過ぎちゃいけない。でも、ちょっとだけ期待してみようか』

そんな気持ちでTwitterと政治、Twitterと社会のあり方を考えていければと思っている。