読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【RESASの活かし方(1)】まずは人口分析から

「地域経済分析システム(RESAS)」については、国もマニュアルを提供しているが、機能的な説明が中心で、実際に使うシーンを想定したものにはなっていない。

操作マニュアルダウンロード - RESAS 地域経済分析システム

実際にデータを分析するとしたらRESASをどう使うべきか、さらに、RESASに掲載されていないデータをどこから持ってきてどう分析するか、ということを整理することにはそれなりの意義がありそうなので、何回かに分けてまとめてみようかと思う。

ところで、RESASを活用した分析例は、たとえば以下のコンテストにあるように、すでにちょこちょこ公開されている。それらは各地域の課題を明らかにし、さらには政策提言に繋げるために分析されたもので、参考になる点が多い。ここでは、そのような実際の分析例も適宜参照しながら、まとめられればと思う。
expo.nikkeibp.co.jp

地域を知るには何はともあれ「人口データ」からということで、まずは人口分析について書きたい。なお、対象が長野県原村なのは、私の祖父母が暮らしているということだけであって、他意はない。八ヶ岳山麓にあるとても素晴らしい地域である。

人口構成&人口推移

まず、原村は大体このあたり(↓)で、人口は2010年時点で7,573人。早速余談になるが、この数は、全国の村(183村)の中で、24番目に多い人口だそうである。 (出典:日本の村の人口順位 - Wikipedia

f:id:kedamatti:20160215215502j:plain (出典:RESAS)

さて、RESASでは人口構成もすぐに分かる。

f:id:kedamatti:20160215215533j:plain (出典:RESAS)

人口ピラミッドの形は、日本全体の人口と同じように「釣鐘型」となっているが、RESASでは2040年の人口ピラミッドも確認することができ、「つぼ型」に移行していく。どちらのピラミッドにおいても、「20~24歳」で男女ともに人口の落ち込みが見られ、高校卒業後や大学卒業後の転出者が多くなっていることが仮説として考えられる。


f:id:kedamatti:20160215215550j:plain (出典:RESAS)

2010年時点で7,573人だった人口は、それまでどのように推移してきたのだろうか。RESASでは、人口の推移も簡単に把握できる。
上のグラフからは、原村の人口のピークが2010年あたりにあったことが分かる(※5年ごとの国勢調査データのため、2010年にピークがあったとは限らない)。
年齢3区分別人口(年少人口:15歳未満人口、生産年齢人口:15~64歳人口、老年人口:65歳以上人口)を見ると、年少人口は1995年、生産年齢人口は2010年をピークに減少傾向にある。これは、日本の総人口の場合、年少人口は1980年、生産年齢人口は1995年にピークを迎えていることを踏まえれば、良い状況と言えるかもしれない。

人口推移の要因(自然動態・社会動態)

次に、人口推移の要因を探るため、「自然動態」と「社会動態」に分けて考えるが、これについてもRESASがグラフを提供している。

f:id:kedamatti:20160215215622j:plain (出典:RESAS)

上図は、出生数・死亡数 / 転入数・転出数をまとめて表示したもの。下2本が「自然動態」を表していて、「黄色」の折れ線が出生数、「紫」の折れ線が死亡数を表している。一方、上2本は、「緑」の折れ線が転入数、「赤」の折れ線が転出数ということで、これらが「社会動態」を表している。原村の場合、「自然動態」については死亡数が出生数を上回っており、その差が拡大している傾向にあるが、一方の「社会動態」については転入数が転出数を上回っている年も多く、移住者が増えている村としてしばしばメディアで取り上げられていたことを裏付ける結果となっている。ただ、これだけでは転入にしても転出にしても詳しいことは分からないので、もう少し詳細な分析が必要である。

まとめ

今回はまず入口ということで、人口動態の基本的な部分についてRESASを活用して分析した。非常に基本的なデータではあるが、RESASが無ければ、これらの状況を押さえるためには「国勢調査」のみならず「住民基本台帳人口移動報告」なども見なければならず、それなりに手間はかかる。誰でも簡単に基本的な統計データにアクセスしやすくしてくれたという点で、RESASの価値は大きい。

次回は、人口動態をもう少し深掘りして分析すべく、RESASに掲載されていないデータも使いながら、分析を進めたいと思う。RESASは良くも悪くも統計データのインデックスツールなので、RESASだけで終わることなく、個々が感じる疑問に沿って、元の統計データに当たっていくと、良い分析ができる(幸い、RESASにはデータの出典が明記されている)。本コラムのタイトルを「RESASの使い方」ではなく「RESASの活かし方」としているのは、そのような意図があるからである。