地方の商店街にもいるドアマン

今日、ある商店街のオシャレカフェに1人で入ろうと、ドアを開けたときのことである。
私は、推定年齢40代半ばの女性4名の襲撃を受けた。
 
 
店員A「ほにゃらら街歩きですか?」
オイラ(突然の襲撃でよく聞こえなかったが)「は、はぁ」
店員A「歩いて来たんですか?」
オイラ「は、はぁ」
客C「雨降ってましたよね?」
オイラ「降ってましたね」
客D「どこから歩いて来たんですか?」
オイラ「こ、こなりじょうって言うんですかね?」(子成場というところなのだが、初めて行ったところで、読み方が分からない)
店員B「こなしば(子成場)ですね」
客D「かなりあるじゃん!ありえないんだけど!」(と、急にため口になる)
オイラ(お前のその発言こそ、ありえない)
店員A「なんで、濡れてないんですか?」
オイラ「ま、雨宿りをしつつ。。」
店員B「水と土の芸術祭関係?」(私が一眼レフをぶら下げていたので、そう思ったと思われる)
オイラ「全く関係ないです」
客C「なんで、ここに来たの?」
オイラ「この商店街に来てみたいと思って」
客D「あんた、何者?」
オイラ(お前こそ何者だよ)「いや、普通の」
店員A「どっから来たの?」
オイラ「新潟市から」
客C・客D(さんざん言っておいて、飽きたらしく、店を出る)
オイラ「あの、、、私、お店に入ってもいいんですかね?」

 

 
一体、私が何をしたというのか。5kmほど離れた場所から、たまたま雨が降る中歩いてきただけである。なんで、見知らぬ女性4人に尋問されなければならないのか。
その商店街に一つだけしかないと思われるオシャレカフェに、男一人で入っただけではないか。なぜ、立たされたまま、ボコボコにされているのか。
 
いつもならば、一眼レフを持っているときは、だいたい料理の写真は撮るのだが、こんな扱いをされてはプライドが許さない。
私は、一眼レフを目立つようにテーブルの上に置きながらも、料理や店内の写真を一枚も撮ること無く、さっさと料理とカフェラテを平らげ、店を出てやったのである。(どちらも美味しかった)
さぞ店員は悔しがっているに違いない。私の勝ちだ(本当は撮りたかった)。
 
店を出た後、商店街をぶらぶら歩いていたのだが、この一件が頭から離れない。というのも、実は昨晩、仕事のあと職場の近くのカフェに行ったところ、すでに出来上がっている女性二人組に絡まれ、今日と同じように「お前は何者か?」と尋問されていたのである。さすがに連日同じようなケースが発生すると、それについて考えてみたくなる。
昨晩の女性はお酒が入っていたという要因もあるが、今日の女性4名(店員もグルになってる)はそうではない。
だとすると何か。そこで思いついた仮説が、タイトルの「ドアマン説」である。
 
ドアマンといえば、銀座の高級ブランドショップの入口に立っているイケメン男子である。
ドアマンの役目は、通すべき人物は通し、通すべきでない人物は何が何でも阻止するということであり、我々庶民はそこを通る際には極度の緊張を強いられる。警察官に話しかけられれば、何もしていないにも関わらず緊張してしまうのと同じである。
 
昨晩と今日、それらの女性陣とのやり取りを通じて、私は、地方の商店街にも姿を隠した形でドアマン(以下、「ドアおばさん」と言う。)が存在していることを発見したのである。
お店は顧客にサービスを提供する場所でありながらも、100%パブリックな空間であるという訳ではない。パブリック性を持ちながらも、一定程度プライベート性を残す、非常に混沌とした場所である。ドアおばさんは必要に応じて不要者を排除するなどして、その混沌とした場を少しでも落ち着けようとする(ドアおばさんが客の場合には、自分のプライベート空間にしようとする場合も少なくない)。コミュニティというものは「ウチ」と「ソト」を必然的に分けるものであり、その点でドアおばさんの存在自体が問題になるものではないのであるが、そのコミュニティに確実に入れることを保障された者以外にとっては、実にやっかいな存在である。
 
銀座のドアマンなんて、可愛いものである。なんといっても、銀座のそれは、最初から姿が見えている。しかし、地方の商店街のドアおばさんは姿を隠している。いつ誰がドアおばさん(=番犬)に化けるか分からないというのは恐ろしく、その意味で非常にたちが悪いのである。銀座であれば、ドアマンと目を合わさず適度な距離をとって忍び込めば良いだけなのであるが、いるかどうか分からないというのは、それ以上の緊張を強いるものである。また、地方の商店街のドアおばさんは、集団で襲いかかってくることも、その特徴である(サンプル数は2)。油断しているところに集団で襲撃されると、中年オヤジは非常に危険な状況に陥ることになる。
 
しかし、怖れてしまってはいけない。怖れてしまえば、戦う前から負けなのである。不安な様子を顔に出したならば、それこそ、ドアおばさんから疑いの目を向けられ、襲撃される。むしろ、こちら側からドアおばさんを尋問するくらいの態度で臨むべきである。それでもやはり恐ろしいということであれば、男一人でオシャレカフェになんかに行かないことである。以上。
 
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(補足)
なお、この記事は事実を元にしたものであるが、著者は全く不快に思ってはいないので、念のため書いておく。楽しかったが故のネタ記事ということでお読み頂きたく。ここで書いたような襲撃は、地方の商店街(というか、コミュニティ・コミュニケーションのあり方)の魅力であり、むしろこうあるべきなんじゃないかとも思うが、人によっては受け入れられないかもしれない。