@kedamatti's diary

米山知宏の思考メモです(専門は、知/情報/自律的な組織づくり/プロジェクトマネジメント/ナレッジマネジメント/コミュニケーション/オープンガバメント/民主主義/市民参加/シビックテック)

お笑い芸人に見る「地域魅力の発見力」

毎週木曜日の深夜、テレビ東京で「モヤモヤさまぁ〜ず」という番組が放送されている。さまぁ〜ずと大江アナの3人で、あてもなく街をぶらぶら歩き、気になるお店や場所があれば行ってみる、というただそれだけの番組である。これまでに、新宿、月島、中野、祐天寺、目白などの都内各所をぶらぶらしているが、いわゆる観光地というところには行かない。大きな街に行くときにも、あえて路地裏のようなところを歩く。誰も知らないようなマイナー場所ばかりである。

それが、とても面白いのだ。
何もないところなのに、彼らの手にかかると一瞬で魅力的なものに変わってしまう。「そんな楽しみ方もあるのか」と、実際に行ってみたくなるのである。

街を紹介する番組といえば、他にも「いい旅・夢気分」「アド街ック天国」「鶴瓶の家族に乾杯」「もしもツアーズ」など数多くあるが、「モヤモヤさまぁ〜ず」は一線を画している。その特徴を一言で言えば、公式ホームページに書かれている「何もない街で何かを見つける」というコンセプトに尽きる。「タモリ倶楽部」も、このコンセプトに近いのではないだろうか。

モヤモヤさまぁ〜ず」を見ながら、地域のプロモーションとはどうあるべきかということを考えさせられた。

一般に地域のプロモーションというと、「ここに○○がある」というメッセージを発信することがメインとなる。ガイドブック、パンフレットなどで、「ここに綺麗な滝がありますよ」「美味しい蕎麦屋があります」という情報を掲載する。「何を(What)」というところに主眼を置いたPRと言える。
一方で、「モヤモヤさまぁ〜ず」や「タモリ倶楽部」は、「こうやって歩けば楽しいじゃん」という「街の楽しみ方」を提示してくれている。彼らの歩き方を見ていると、限られた観光資源の中でも「楽しみ方は無限だ」ということを教えられるようである。一般のプロモーションと比較して、「どうやって(How)」に主眼を置いたPRになっている。

「楽しみ方(How)」の魅力を見つけるのは、「楽しむ場所(What)」の魅力を見つけるのに比べて、かなり難しい。「楽しみ方」というのは、目に見える形では存在しておらず、「訪問者」と「地域」との関係性の中で生まれるものだからである。しかし、だからこそ、可能性がある。観光資源が豊かどうかに関わらず、「楽しみ方」というところに視点を置いた瞬間に、地域の魅力は無限に広がるのだ。

それにしても、地域の魅力・楽しみ方をあっさりと見つけるさまぁ〜ずタモリの着眼力はものすごいものがある。

これらの番組が、地域プロモーションのあり方を考える上で、大事なヒントを提示していないだろうか。
観光客一人一人が、地域の中でどのように楽しんでくれるだろうか。